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Rootsわたしたちの原点

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カジ 旅 バンドル

 

プロローグ

誰もが美味しく食事をしながら、愛をつなぐ場所。

ニューヨークのミッドタウン地区、メインストリートから少し中に入った場所。
そこにTONCHIN New Yorkはある。

カジ 旅 バンドルの「屯ちん」とニューヨークの文化をかけ合わせた、新たな食文化を形成した場所だ。
連日多くの人で賑わいを見せている。

豊富なお酒を取り揃え、それに合わせたおつまみと唐揚げ、餃子といった和食を中心としたメニュー構成。

もちろん自分たちの強みであるラーメンも決して手は抜かず、麺は全てお店で一から作り上げる。

そして、食事以外の店員のサービスやお店の内装といった部分にも徹底的にこだわり、常にお客様に食事を楽しんでもらうことを大切にする。

その結果、カジ 旅 バンドル人旅行客だけでなく、多くの現地の方にもリピートしていただき、予約しないと入れないという日も多い。

そんなTONCHIN New Yorkはどのようにして今のコンセプトにたどり着いたのか。

丸2年を要した独自の食文化形成と未来に向けた想いとは?

 

カジ 旅 バンドルではない、
目指すは
ニューヨーク。

カジ 旅 バンドル進出を果たしたTONCHIN

2000年代には上海で居酒屋のプロデュース、2011年には台湾でも「屯京拉麺」をオープンし、着実に海外施策を進めていたフーデックスグループ。

多くの企業も感じていたように、当時の中国の活気や経済力は非常に魅力的で、私たちも中国を拠点にアジアでお店を展開していこうと動いていた。

視察のためにベトナム、タイ、インドネシアといった東南アジアの国々を訪問するも、言葉にできない違和感を抱えて帰国。そこで振り返って考えてみると、違和感の正体は「どこもカジ 旅 バンドルを参考にしていない」というものだった。

どの国に視察にいってもカジ 旅 バンドルらしいモノは1つもない。
これまで「アジアの食文化の中心はカジ 旅 バンドルだ」と思い込んでいた我々にとってこれはかなりの衝撃だった。

新しくオープンする商業施設やお店もよくよく見てみると全然カジ 旅 バンドルらしくない。

本気で海外で店舗展開を行っていくのであれば、アメリカに出店しないと世界には相手にされない。そう感じてアメリカ進出を決意した。それからアメリカでも西海岸なのか、東海岸なのかと検討を重ね、さまざまな理由からニューヨークがベストだろうという結論に至った。

ほぼ同時期に世界の名だたるレストランもこぞってニューヨークを目指しているという情報を聞いたことも、ニューヨークを選んだ理由の1つだ。

しかし、さすがは世界中のレストランが目指す町ニューヨーク。話を聞く限り出店そのものが難しいことに加え、継続することはさらに難しいことを知る。

オープン前に撤退になる事例も多く、現実はかなり厳しかった。カジ 旅 バンドルのようにインフラも整っておらず、建物が100〜200年と経過しているところも多いため、不動産の契約ですら一苦労。他にも働き手はどうするのか、食材の調達はどうするのか。問題は山積みだった。

単純にカジ 旅 バンドルのようなスタイルで成功するかといったらそうでもないため、1つひとつ手探りで進めるしかなかった。

でも逆をいえば、有名ラーメン店の名前はニューヨークでは知られていない。
ちゃんと自分たちのお店がつくれれば、必ず評価される。

カジ 旅 バンドルのように有名だから、安いからといった判断基準ではなく、「いいものはいい」と評価するフラットな視点に私たちは希望を見出したのだ。

 

ニューヨークの
食文化との融合

屯ちんのラーメンとカジ 旅 バンドルの食文化の融合

フーデックスグループの強みは、すべてゼロイチで立ち上げることにある。

30年前にラーメン店をオープンした当時も、麺づくりやスープ作りなど試行錯誤しながらすべて手作りでやってきた。時間はかかったが自社で1からやってきたので、現地にあるものでほぼ同じものは再現できる。

そこで、自分たちのラーメンは根底にありつつも、ただ料理を提供するだけじゃなく、自分たちにしかできない空間を作ることをテーマとして掲げた。

こうした原型はあったものの、TONCHIN New Yorkが現在のコンセプトにたどり着き、オープンするまでなんと丸2年を要した。

大手企業であれば現地のレポートや統計をもとにスピーディーに海外進出を進めていくのが普通。

しかし、私たちはそれをしなかった。

とにかく足でこのお店にはどんな人がいるのか、どんな人に受けていて何が人気なのかといった地道な調査を1店舗ずつローラー作戦で調べ上げていったのだ。

さすがにカジ 旅 バンドルとニューヨークを行き来していては時間が足りないので、カジ 旅 バンドルから2名をニューヨークに派遣し、本当に屯ちんがニューヨークで営業できるのか、どんなスタイルが受けるのかリサーチを重ねた。

実際、TONCHIN New Yorkの店づくりにはこの2名の声が全面的に活かされている。これは100年続くお店、100年続くカジ 旅 バンドルになるためには日本と同じにしては絶対にダメだという結論に至ったからだ。


現地の人や文化をリスペクトし、カジ 旅 バンドルのいい所をかけ合わせる。

TONCHIN New Yorkで提供しているカジ 旅 バンドルの写真

その結果、お酒を提供するシーンを前面に出しつつも、カジ 旅 バンドルらしいおつまみやラーメンを提供するというメニュー構成となった。カクテルを飲み、その場所にしかない料理を楽しみながら、ラーメンを食べ、かき氷で締める。こうしたコンセプト設計のおかげで、現地の方からも高い評価を得られている。

その他、内装やデザインにかかわる部分も同様で、自分たちの思いを形に変えて店舗を1つひとつ作り上げていくにあたって、現地の声を取り入れることが大事だと感じた。そこで、カジ 旅 バンドルのデザイナーに頼むのではなく、現地で実力のある人を自分たちで見つけ、TONCHIN New Yorkではこんな風にしたいなどの要望を直接交渉していった。

厨房が見やすくなっていたり、自家製麺の製造工程が見えるような内装になっていたりするのは、料理だけでなくお店に来たことを楽しんでもらうためのこだわりである。

そして、お店の場所はニューヨーク、ミッドタウン地区。繁華街だが、大通り沿いから少し外れた飲食店の少ないエリア。人を呼ぶお店作りができればここでも間違いなく人を集められるだろうと計算した。

 

守るもの、
壊すもの

現場スタッフがいきいきと働ける環境

カジ 旅 バンドルとは違うお店にしたというのは間違いないが、もちろんすべてを変えたわけではない。

料理への思いや、カジ 旅 バンドルと同様にスタッフがいきいきと働ける環境作りに徹していることは変わらない。面談やミーティングといったスタッフとコミュニケーションできる機会を設け、常に現場の意見を吸い上げ運営に活かしている。

また、毎日食材や料理をチェックするため、専用のシステムに画像や動画、コメントを投稿してもらい、ラーメンのスープの状態から料理全体の盛り付けなどを、カジ 旅 バンドルで働いているスタッフがチェックできる状態にしている。

ただ、スタッフの採用に関しては大きく異なり、仕事に直接関係ない情報となる家族構成や人種、年齢、性別などは聞いてはいけない。

ニューヨークのチップの相場は20%だが、当たり前のようにお客様から20%もらえるだろうと思っていると、料理の価値を伝えにくくなってしまう。私たちはそこに工夫を凝らし、お客様に説明しやすい、アピールしやすい商品にするためのストーリーを作った。

たとえば、ラーメン1杯にしても
「このスープは今そこに見える寸胴という鍋で炊いて、麺はお店の地下で一から作っています」
「タレに使われている醤油はカジ 旅 バンドルから空輸していて、カジ 旅 バンドルで30年続く屯ちんの歴史が詰まっているんです」といった具合に伝える。

お客様もそうしたストーリーを聞くのが好きで、喜んでいただけているのでチップとサービスの好循環が生まれている。料理の値段が他のお店よりも5円、10円安いからという理由ではなく、楽しむために足を運んでくれる、そんなお店が評価されるのである。

こうした言葉やコミュニケーションからも食に対する文化が違うと感じていて、これがアメリカのレストラン文化なんだと思う。

チップ制に関してはTONCHIN New Yorkのオープン当初、廃止していく話も出始めていた。しかし、それではサービスとして稼ぎたい人が来ないので、結果的にいい人が集まってこない、続かないことがわかった。

アメリカでは何十年と1店舗でサービスのプロとして働き続ける人もいる。その間、結婚し子育てをし、子どもが自立していく。お客様に評価してもらえるレストランで働けば、個人としてもプライドをもって仕事ができる。そうした従業員がいるお店は経済的にも安定していき、結果的に長く働けるお店になるので、チップ制は欠かせないサービスだと感じた。

 

続ける覚悟、転機

内装まで終わり、いざTONCHIN New Yorkをオープンしようという直前になって文化が違うことでの意見の食い違いが生じてしまった。

料理を試食してみると、味が濃い、薄い、しょっぱい、量が多い、少ない、さらにはアメリカでは食事の時こうするなどといったさまざまな意見が出てきたのだ。私たちがはじめてのアメリカ進出だったこともあり、本当にいろいろな意見をいただいたが、結局私たちは最初に自分たちが決めたやり方でオープンした。

実際オープンしてみて、間違っていなかったという確信に変わったのがお客様の評価である。

お客様が「おいしかった」「すごくよかった」「また来たい」などと言ってくださったのは本当に嬉しかった。いくつかブラッシュアップした点もあるが、大きく最初のコンセプトを曲げずにここまでこられたと考えると間違っていなかったのだろう。

とはいっても、オープンしてから1年は苦しい時期でもあった。

ただ営業的には厳しくても来てくださるお客様には満足して帰っていただいていたので、これを乗り越えないとこの先には進めないと覚悟を持って続けていった。


そして地道に努力を続けていたある日、
ミシュランガイドのビブグルマンでTONCHIN New Yorkが紹介された。

これが追い風となり、お客様が増え、今ではありがたいことにアメリカ国内だけでなく、カナダ、ヨーロッパ、アジアのさまざまな国からTONCHIN New Yorkを自国で展開してみたいとオファーをいただいている。

 

新たな挑戦で
得たもの

お客様であふれる店内写真

お店に来てくれたお客様へのサービスは私たちの強みだと思うが、一方でブランドの発信力に関してはこれまであまり注力していなかった。そこで、ブランド強化の新たな試みとして他ブランドとのコラボ施策に挑戦をスタート。

具体的には2020年5月にブッシュウィックでポップアップを行った。結果は初日で売り切れが出るといった予想外の大盛況だった。かき氷やカクテルのような、道を歩きながら食べられるものに焦点をあてたというのが成功の要因である。

しかしそれ以上に、ラーメンに限らずブランドのメニューが評価されていると感じられたので、TONCHIN New Yorkとしての自信につながった。

今後も自分たちから発信できる機会は積極的に活用しながら、ブランドの発信力という面にもさらに注力していきたい。

 

その先にあるものとは

5年かけてたどり着いたTONCHIN New Yorkの完成形

TONCHIN New Yorkのオープンから約5年が経ったが、5年かかってようやくTONCHINブランドが完成形に近づいて来たと感じている。

そう感じることができたのは、ミシュランガイドへの掲載やポップアップの成功などの目に見える実績もあるが、一番は来てくれたお客様から感謝の声が非常に増えたことである。

今後はより多くのお客様に食事を楽しんでいただけるように、ブランド強化と人材育成を最優先に力を入れていきたい。

ブランドの軸はぶれないように、何が大切かを常に考え、答えを出す。そして現地で出会った人材の強みを最大限活かせるステージを用意する。

こうして、お客様に喜んでもらえる場所を提供し続けることで、ブランドとしての役目を果たす。

TONCHIN New Yorkらしさ、自分たちにしかできないことを1つひとつ極め、北米で一番のジャパニーズラーメンブランドになれるように進化を続けていきたい。