TONCHIN Los Angelesはラーメン屋ではありますが、内装にもこだわり、落ち着いた雰囲気で居心地の良さが感じられるお店です。

基本のラーメンに関しては、ブランドとしての味を決して変えることなく、店内で全て手作りすることにこだわりを持っています。また、フルバーを完備していることから、ラーメン屋でありながら洗練されたお酒とともにラーメン以外のメニューも楽しむことができる点も大きな魅力です。

ニューヨークとは異なり観光客はそこまで多くないため、お客様の多くは地域住民の方々です。観光で訪れ、ふらっと立ち寄るというシーンは少ないため、まず一度来店していただくという部分に少しハードルがあります。

ただ、近くにはハリウッドもあるので、宣伝に力を入れ、より多くのお客様を引き込むための取り組みを模索しています。

私はお店がオープンする前の2017年頃から携わっていますが、その中でオーナーとして人をまとめる難しさを何度も感じてきました。

考え方の違い、お互いの主張がぶつかり合うことも度々あり、その度に考え、真摯に一つひとつ向き合ってきたからこそ今があると思います。

そんな経験を経て、人をまとめる立場で本当に大切なことは、自分の意見をしっかりと持つことだと気づきました。

意見の食い違いになった時に感情的になってはなにも進展しません。相手の意見に耳を傾け、自分の想いを明確に伝えることで、少しづつお互いが歩み寄ることができるようになるのです。

お店の方針として一番大切にしていることは、常に新鮮な料理を提供するということです。在庫を抱えすぎて料理の質を落とさないためにも、余分な発注や仕込み、作り置きは控えるよう心がけています。

また、盛り付けにも力を入れ、味覚だけでなく五感で楽しんでもらえる食事体験を創り上げています。その際、スタッフによってクオリティにブレがあってはいけないので、トレーニングの際に意識していることが大きく2つあります。

1つ目が「必ず自分でも一度やってみせる」ということです。口で説明するだけではどうしても理解に差が出てしまうので、実演してしっかり目で見てもらっています。

2つ目が「教える側が同じ答えを持っておく」ということです。ある人はああ言ってるけど、この人はこう言っているといった状態では、教わる側も混乱してしまいます。

その意味でもマニュアルを確立させることは、チームとして基準を底上げするために非常に有効な手法だと言えます。

店舗を続けていくには、サービスの質をあげることと同時に「安定」させることも非常に大切です。そのためには、スタッフのモチベーションの維持が不可欠です。

そこで、職場の雰囲気を保ちつつ、一人ひとりの考え方を理解するために日常の些細なテーマでもいいので積極的に全員とコミュニケーションをとるようにしています。

土地柄か多少ゆったりしている性格のスタッフが多いですが、みんなよく働き、よく話を聞いてくれます。そういう意味では日本人スタッフが今はいませんが、日本人ととても相性がいい職場かもしれません。

また、レストランオーナーとして、自分の理想の商品、サービス、お店の雰囲気を追い求めていくことも重要だと考えています。

個人的には、何か新しいことに挑戦することがモチベーションの向上につながるので、自分の理想のお店を目指すことが日々の原動力の1つです。理想のお店が完成した時には、お客様へのサービスの質も向上し、より多くの人に愛されるお店になっていると信じています。

Los Angelesの店舗はコロナのパンデミック後にオープンとなったため、直接的な被害は受けていません。ただ、パンデミックの結果、経済の状況が大きく変わり、人々のライフサイクル、食生活にも大きな変化が起きました。

特に物価の上昇、外食の頻度などは影響度が高く、コロナ前の常識が通用する状態ではなくなったと感じています。

そんな中ですが、私たちはより多くのお客様にTONCHINを認知してもらうために前に進みます。そして、最終的にはカリフォルニアにも店舗展開をしていきたいです。

店舗を増やしていくにあたって課題となるのがチーム作りです。新しいお店でも同じクオリティでサービスを提供するには、今ある店舗と同じように動けるチームを増やしていかなければいけません。つまり、マニュアルをいち早く確立し、現地スタッフのみでお店を運営できるシステム作りが重要になってきます。

決して追い風が吹いているとは言い難い状況ですが、一人でも多くお客様に愛されるお店になるために個人としてもTONCHIN Los Angelesとしても挑戦し続けます。